第四章 ストレスの気付き方 第三回

第十一問

次の事例を読み、設問に答えなさい

Mさんは商社の営業部に所属する、課長候補として中途採用された42歳の男性社員です。転職は本人の希望によるもので、さらなるキャリアアップのために今の会社を選択し、仕事内容もやりがいがあるものでした。


一方、転職当初から部長をはじめとする上長との人間関係に苦労していた。
部長はとりわけ優秀で、Mさんに求めてくるレベルも大変高く、少しでもレベルに達しない内容だと「期待外れ!情けないなぁ」と厳しい口調で長時間叱責することも多々あります。


周りの同僚も部長の叱責に巻き込まれることを恐れ、Mさんとの間に一定の距離を置いており、職場になじめないでいる。
部長の要求にこたえるため残業時間は多くなり、先月の残業時間は60時間を超えている。
Mさんには奥さんがいるが、奥さんは仕事の都合で転居できず、転職と同時に別々の生活を送っている。一人暮らしと残業の多さによって生活リズムを乱れている。
家で仕事のことを考えることがあるが、怒りがこみ上げてきて、気持ちを紛らわすために就寝前にお酒を飲みすぎることが多くなっている。


最近は出社しようとすると毎日胃が痛み、ここ一か月は会社に行く気力が出ない。
そのような環境下で先日ストレスチェック(職業性ストレス簡易調査票)を回答するように管理部からメールがあった
回答しようとページを開いてみたが、質問内容を見て回答することをやめてしまった。


先日SNSのアカウントが誰かに乗っ取られるということもあり、回答した内容が漏れないか心配に感じたこともあるが、そもそもこのような調査票が信用できるものなのか、自分の状態を適切に評価してくれるのか気になっている。

設問1

Mさんのストレスと労働災害認定について定めた心理的負荷による精神障害の認定基準に関して、最も不適切なものを選びなさい

  1. 部長の発言は認定基準の対人関係に該当する可能性がある
  2. Mさんの事例は認定基準の自己や災害の体験に該当するものではない
  3. 周りの同僚になじめない状態は、認定基準のセクシャルハラスメントには該当しない
  4. 認定基準における仕事の質、量は一か月に60時間以上の時間外労働を行ったことという具体例が示されており、Mさんの時間外労働はこれに該当する
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正解:④

時間外労働時間は60時間ではなく、80時間である

設問2

Mさんのストレスと社会的再適応評価尺度に関して、最も適切なものを選びなさい

  1. 社会的再適応の評価尺度は、過去一か月で経験した出来事に対して評価を行うため、Mさんの遠方への転居はストレスがかかるライフイベントとはみなされない
  2. 社会的再適応評価尺度から算出されたMさんのストレス値は計120点であったため、この点数は79%の労働者に何かしらの疾患が発症していた数値だと言える
  3. SNSのアカウントが乗っ取られるという出来事は、社会的再適応評価尺度において28点と評価される
  4. 別居に伴う家族との離別というライフイベントは日本の調査では上位のストレス値となる
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正解:④

設問3

Mさんのストレスに関して、A~Dのうち正解を〇、誤っているものは×としたときに、最も適切な組み合わせを選びなさい

A:怒りの感情は心理面の急性ストレス反応の可能性がある

B:お酒を飲みすぎてしまう行為は行動面の変化とは言わない

C:胃の痛みは身体面の急性ストレス反応の可能性がある

D:会社に行く気力が出ないことが一か月以上続くとMさんはさらに1か月ほど様子を見たのち、産業医などの専門家に相談することが望ましい

  1. A:×、B:〇、C:〇、D:×
  2. A:〇、B:×、C:〇、D:×
  3. A:〇、B:×、C:×、D:〇
  4. A:×、B:〇、C:〇、D:〇
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正解:②

設問4

Mさんのストレスに関して、A~Dのうち正解を〇、誤っているものは×としたときに、最も適切な組み合わせを選びなさい

A:職業ストレス簡易調査票は平成7~11年度の厚生労働省の委託研究である作業関連疾患の予防に関する研究のストレス測定によって生み出されたものであり、信頼性の高いチェック方法である

B:職業ストレス簡易調査票では身体的反応と心理的反応の二つを測定できる

C:職業ストレス簡易調査票では、家庭におけるストレス要因について測定ができる

D:職業ストレス簡易調査票を使ったストレスチェックの結果は、常に正確な情報をもたらすので、定期的にチェックする必要がない

  1. A:〇、B:×、C:〇、D:〇
  2. A:〇、B:×、C:〇、D:×
  3. A:〇、B:〇、C:×、D:×
  4. A:×、B:〇、C:×、D:〇
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正解:③

設問5

Mさんの職業ストレス簡易調査票に回答した場合の関して、最も適切なものを選びなさい

  1. Mさんがハラスメントを受けていると感じていることについて、直接チェックする項目がある
  2. Mさんが感じている同僚の支援状況について、2項目でチェックすることができる
  3. 時間外労働の時間数とストレスとの関係性についてはチェックする項目がある
  4. Mさんのネガティブなストレス反応以外にも、ポジティブな反応も評価できる
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正解:④

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