第十二問
次の事例を読み、設問に答えなさい
Aさんは大学院を卒業後、製造メーカーに就職して20年になる44歳の女性、独身です。研究開発部門に勤務しています。
仕事はとてもやりがいのあり、男性社員にも負けないように今まで仕事に専念してきました。
しかし1年前に人間ドッグで乳がんが見つかり、治療をするため8か月もの間休職を余儀なくされました。現在は復職して4か月ですが、一時間の時短勤務であってもガンの再発防止の治療と仕事の両立に体力的な厳しさがあり、片道30分ほどの通勤がつらくてタクシーで通勤することがある。
上長からは仕事上の必要な配慮はすると言ってもらっているが、Aさん自身はキャリアアップを望んでいたため、自分の口から仕事の負担を軽減してほしいとは言えず、休職期間を挽回するパフォーマンスを出すために身を削る思いで努力を続けている。
仕事では大規模な研究プロジェクトの一員となり、膨大な研究作業を決められた納期で行う必要がある
時短勤務のため、タイムロスが大きいが、最近は眼精疲労や肩こりがきつく、寝つきの悪さから疲労がなくならないので、仕事が進むときと進まないときの波が大きくなっている。混乱してしまい、実際にミスしてしまうことも増えた。
このような仕事状況に対して、上司から面接にて「女性らしく結婚して専業主婦になったほうがいいのでは?」と言われてしまい、それ以降上司の前でのプレゼンを回避するようになり、遅刻や欠勤が増えてしまい仕事を辞めたいと考えている
設問1
Aさんの実例に関する下記記述について、DCSモデルに関するストレス要因として、最も不適切なものを選びなさい
- 上長へ仕事の負担を減らしてほしいと言えない
- 膨大な研究作業を行わないといけない
- 余計なタイムロスが許されない
- 通勤がつらくタクシーを使ってしまう
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正解:④
通勤がつらいという状態はDCSモデルに含まれない
設問2
Mさんが面接時に上長から言われた「女性らしく結婚して専業主婦になったほうがいいのでは?」という発言が、心理的負荷による精神障害の認定基準の出来事のどの種類に当てはまるのか、最も適切なものを選びなさい
- 事故や災害体験
- 対人関係
- 役割や地位の変化
- セクシャルハラスメント
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正解:④
上司の「女性らしく結婚して専業主婦になったほうがいいのでは?」という言葉がセクシャルハラスメントに当たり、心理的負荷の強度Ⅱに該当する
設問3
Aさんのストレス反応に関して、最も不適切なものを選びなさい
- 肩こりや眼精疲労はストレスが原因で生じることがある
- 不眠や寝つきの悪さは慢性の心理面の変化に該当
- 混乱は急性の心理面の変化に該当
- 仕事を辞めたいと思うのは慢性の心理面の変化に該当
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正解:②
不眠は身体変化に当たる
設問4
Aさんの行動面の変化(仕事ぶり)に関して、最も適切なものを選びなさい
- 「仕事が進むときと進まないときの波が大きくなっている」の記述から、うまくいくときもあるので心配の必要がない
- 「実際にミスしてしまうことも増えた」という行動は主観的な自己評価であるため、仕事ぶり(行動)の変化には該当しない
- 「上司の前でのプレゼンを回避するようになり」という行動は実際に失敗しているわけではないので、仕事ぶり(行動)の変化には該当しない
- 「遅刻や欠勤が増えてしまい」という状況は客観的なデータでも把握できる仕事ぶりの変化である
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正解:④
正社員が61.3%と最も多く、派遣労働者は59.4%
設問5
Aさんの事例で、定期的なストレスチェックの重要度に関するA~Dのうち正解を〇、誤っているものは×としたときに、最も適切な組み合わせを選びなさい
A:ストレスチェックの結果は、例えば性格検査のようなある程度一定の数値を安定して示す
B:自分では軽減できないストレス要因が持続していることを自覚したAさんは、上長と相談する必要がある
C:現状のAさんのストレス反応の状態は、産業保健スタッフに相談すべきである
D:Aさんのストレスは継続的に続いているため、一年に一回の会社で行うストレスチェック以外にも、こころの耳を活用して定期的にチェックすることが有効である
- A:×、B:〇、C:×、D:〇
- A:〇、B:×、C:〇、D:×
- A:〇、B:〇、C:×、D:×
- A:×、B:×、C:〇、D:〇
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正解:④
正社員が61.3%と最も多く、派遣労働者は59.4%
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